
蓄電池を分かりやすく表現してみよう
いま山村へ行くと、山の田んぼや畑が無残な状態にある。
私はよく学生に「猪・鹿・蝶が山から下りてきた花札の世界だよ」いわれ、しかも儲からない。
農業から去る若者たち。
日本の大地を支えてきた農耕の歴史は少なく見積もっても3千〜4千年あるが、それがいま大きく傾きつつある。
だというのに、国民にほとんどその危機意識がない。
日本農村の現場を回ってみると、非常に力の衰えを痛感する。
力とは、体力×精神力だといっていいが、いま農業を支えているのは、戦後一桁生まれまでの人☆だが、彼らの平均年齢は60歳を超えていて、次の世代は数えるほどしかいない。
われわれの胃袋を日本の大地で支えることができなくなったら、いったいどうなるのか。
そのときになったらまた考える、とでもいうのだろうか。
1994年の3月に何があったか記憶しておられるだろうか。
緊急輸入米事件、いわゆる「平成の米騒動」が起きたのである。
そのとき、別に米なんて食わなくてもいいという人々も多少はいたかもしれない。
めん類ですませてもいいし、電子レンジでラザニァを温めてもいい。
しかし、国民の多くは大慌てをした。
欲しい、食べたい国産米がなかったからである。
政府は緊急輸入米と称してアメリカ、オーストラリア、そして中国、ベトナム、というのだが、イノシシやシカという野獣が彼らの春を認歌している。
辛うじて頑張っている農民は、それらとせめぎ合いをしている状況がある。
農山村の多くの農地はペンペン草がはえ、やがては、元は農地であったことすらわからない状況に転落しつつある。
実際、約一割の農地がもう捨てられてしまっている。
世界人口の8割が途上国にいて、その3割から半分近くが潜在的な栄養失調や飢餓に直面している中で、しかも21世紀になればますます問題が深刻になるかもしれない状況の中で、日本は農地を捨てている。
輸入食料は安全性の点で何かしら危ない、国産が欲しいというぜいたく、わがままをいいながら、しかも満たされないでいる。
このアンやバランスこそが現代の食と農業、環境を取り巻く深刻な構図なのである。
では、どうすればいいのか。
21世紀に本当に食料危機が来るかどうかは、食糧の増産と人口抑制にかかっているが、決して楽観はできないと思われる。
実際、近年、世界全体の殻物在庫は減りつづけている。
お隣の中国について考えて見よう。
いま中国で起こっている変化は、昭和30年代に日本が経験したこととかなり類似性がある。
優良な農地が高速道路や工場や住宅の開発用地に転用されている。
揚子江周辺を鉄道で旅行をしてふればわかるが、例えば上海から南京の辺り、中国一の水田地帯、農耕地帯が、見るも無残に他の用途に切り換えられている。
農業では儲からないというので農家の人たちは沿岸地帯に出稼ぎに行く。
若い労働力が減少し、農業生産がおろそかになる。
日本が経験したことと同じである。
実質で年13%という驚異的な経済成長、それが中国の過去5年間の姿である。
1990年代に入ってからの中国の経済発展は驚異的である。
日本の「所得倍増」は年率にして10%の経済成長だったが、それを上回る経済成長をいま、12億人という民を抱える中国が達成している。
これが世界の食料や農業に影響を及ぼさないはずがない。
先進国では、1ヘクタール当たり6〜7トンの穀物を穫れば、それ以上は無理というところまできた。
精一杯の荒廃、どれ一つを取り上げてもかなり深刻だと考えていい。
一昨年、中国でインスタントラーメンが大変ブームになった。
共働きが増えた、家庭で簡便に食事をしたいというニーズに合ったのか、飛ぶように売れた。
そのとき、あっという間にヤシ油の国際価格がはね上がった。
あるいは湿卵を週に一人一個余分に食べるようになるだけでも世界の穀物市場に大変なインパクトがかかってくる。
卵を生産するために飼料穀物が必要になるからである。
それを輸出している国は世界にアメリカを除いてほとんどないから、一大お得意様の日本と肩を並べて、中国は畜産飼料をアメリカから輸入するようになった。
だから日本の畜産業界は悲鳴を上げている。
トウモロコシなどの国際価格が上昇したためだが、今後とも、まだまだ続くだろうといわれている。
このように中国の影響は非常に大きい。
食料はほとんどの国において自給自足であって、例外的に、食料を大量に輸入している国は世界に4つしかない。
香港とシンガポールーこれは農地がないから仕方なく全部輸入する.次に、大量に食料を輸入して平気な顔でいるのが日本である。
もう一つの国はオランダだが、ここは一方では世界第二位の食料輸出国でもあって、見返りとして穀物を輸入しているのだから日本とは状況が全く違う。
この平和な世の中、しかも外貨をたくさんもっている、ハイテクで生きる日本だから、食料を買うことなんてお手のものと考えることもできないことはない。
その意味では仮に世界に食料危機が来ても、日本には食料危機は来ないだろう。
しかし問題は市場メカニズムだけの話ですむのだろうか。
私は違うと思う。
人道上の問題、さらには国際政治というもっと大きな力がこれから大きなインパクトをもってくるのではなかろうか。
海洋資源もいま一つの壁に直面している。
陸上の資源だけでなく、水産資源面でも限界がみえはじめてきた。
に、たくさん実を成るように頑張れといくらいっても限界があるのと同様に、乱獲や水質汚染の影響が世化学肥料や農薬を撒いて、収量を獲得してきた。
無理してつくったものだから、後で述べるようにいろいろな環境問題が生じた。
一方、途上国は、増えつづける人口を養うためには外貨を節約しなければならないから、一方でプランテーションも含めて輸出作物をつくり、他方で食料作物を可能な限り高効率的に生産する。
化学肥料や農薬を入れる。
中国、そしてベトナムですら、いま日本とあまり変わらない水準の量を投入しているのである。
その結果、多くの地域で、もうこれ以上は単収は伸ばせないというところまできた。
文明の長い歴史をたどってみると、重要な法則がある。
ありとあらゆる文明は、緑と戦って、緑を征服して、食料生産技術を高めて、栄華を極める。
黄河文明、メソポタミア、エジプト、すべてそうであったローマもギリシアも。
そのいずれもが、やがて滅びたり、衰退した。
その原因には、諸外国との戦争や疫病や飢謹もあったが、今日のテーマに即していえば、緑をないがしろにした、緑を切り尽くしたことが原因となったのは明らかだといわれている。
士を見ればその文明の豊かさがわかるといわれる。
豊かな文明は、富永を蓄積するために周りの緑をどんどん切って建造物に使う。
その結果、土を滅ぼしてしまう。
例えば、4千〜5千年前の中近東のシリア文明は世界一の水準だったといわれる。
考古学的な調査によれば、レバノン杉という直径1メートルにもなろうという巨木の森林が、いまは砂漠にやがて緑が枯渇し、やがて文明が滅びた。
環境と農業とをどのようにして調和させるのか。
新しい対応策がいま、世界各地で模索されている。
10年前、ちょうどチェルノブイリ原発事故の前後に、農業の環境にかかわる重大な事件がいくつか起こった。
ライン川の魚が浮かんでくる。
ライン河口周辺のアザラシが大量に死ぬ。
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